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2008年11月04日(水)産經新聞掲載
ペルシャ絨毯産業は1736年の王朝滅亡と同時に一時途絶えますが、カジャール朝の樹立と共に復活を遂げ、その後のパーレビ朝では傑作が次々に生み出されました。この作品はパーレビ朝レザー・パーレビ皇太子とエジプトのファールーク王息女フージエのご成婚を祝して贈られた逸品で、国をあげての盛大な結婚式が行われたのは1938年のことでした。
制作者はペルシャ絨毯において20世紀最大の影響を与えたと言われるセイエッド・レザー・ハーネ・サーネイによるものです。この作品はご成婚の決まった皇太子に対し、サーネイがこの上ない喜びと祝福の意を表して捧げた大変貴重な逸品です。一日も早い次期皇太子の誕生を祈る大衆の大きな期待と希望が込められており、天然染料を用いた草木染めが温かみのある色合いを表現しています。
ペルシャ絨毯のカシャーン産地で最も有名なデザイナーであるセイエッド・レザー・ハーネ・サーネイは通称セイエッド・レザー・ハーネ・ナッガーシュとしてその名を馳せ、多方面で活躍した才能溢れる人物です。1886年に生を受け1987年に101歳でこの世を去りました。サーネイは自ら率いる工房でデザインを手懸けて絨毯制作の監督に従事しました。彼がデザインした柄はたちまちカシャーンを代表するものとなり、各地でそれを基にしたデザインが起用されました。今日のカシャーンで生産される絨毯全てが彼から生まれたと言っても過言ではありません。
サーネイの手懸けた絨毯はその芸術性に加え数に限りがあるため、作品全てが貴重な価値を持ち、一般の人々が入手するのは困難です。現在、彼の作品のほとんどは世界各国の博物館やコレクターが所有している為、大変希少価値があります。